家事事件に役立つ本-離婚編

(この記事は主に弁護士向けです。)

秋武憲ー『新版 離婚調停』日本加除出版2013年

お薦め度:☆☆☆☆☆

 家裁修習の時に裁判官に(個人的に、1対1の会話で)薦められました。曰く「たいていのことはこれに書いてある」。
 弁護士になって最初はまずこれを見ていたのですが、次第に物足りなさを感じるようになり、他の本を参照するようになっていき、最近はあまり見ていません。しかし、この記事を書くにあたりちょっと読んでみると、本当に、たいていのことはこれに書いてあるなと思いました。ただ、薄い本なのでそれぞれの記述は短いかもしれません。
 「離婚調停」というタイトルにはなっていますが、離婚に関する調停(もちろん、離婚そのものだけを目的とする調停に限りません)に関係する実体法の問題を実務的な観点から網羅しているといった印象です。実体法の本だと思ってもいい、と言っても過言ではないと思います。

秋武憲一・岡健太郎 編著『離婚調停・離婚訴訟[改訂版]』青林書院2013年

お薦め度:☆☆

 訴訟のことも書いてあるという点と、別の本であるという点で、上記『新版 離婚調停』を補完するつもりで使っています。

二宮周平・榊原富士子『離婚判例ガイド[第3版]』有斐閣2015年

お薦め度:☆☆☆☆☆

 私の最近のお気に入りです。
 タイトルから、判例を列挙して解説している本かと思ってしばらく素通りしていたのですが、もったいないことをしていました。手に取って読んでみると、実体法・手続法・実務の解説をした後で判例を紹介して理解を深めさせてくれる、といった本でした。

金子修 編著『逐条解説 家事事件手続法』商事法務2013年

お薦め度:☆☆☆☆☆

 家事事件手続法に関しては、これに全て書いてあります。当たり前ですね。
 はしがきから引用すると、「新たな家事事件手続法の全条文について、立案に携わった者が、条文ごとに解説することを試みたものです。」
 内容が充実しているので、家事事件手続法に関してはこれ一冊でいいかもしれないとも思います。

秋武憲一 編著『概説 家事事件手続法』青林書院2012年

お薦め度:☆☆☆☆

 現行の家事事件手続法が施行される前に、5人の裁判官が書いた本です。そう書くと、今読む必要はないのではないかという気もしますが、私は結構参照しています。事件類型ごとの手続を概観するには良い本です。

高橋信幸・藤川朋子『子の親権・監護の実務』青林書院2015年

お薦め度:☆☆☆☆☆

 タイトルどおり、子の親権・監護の実務についてしか書いていない本ですが、その分詳しいです。実務がよくわかります。
 特筆すべきは、家庭裁判所調査官である藤川朋子氏が執筆している第6章「離婚時における子の問題への家庭裁判所調査官の関与」でしょう。家庭裁判所調査官自身の手によって、家庭裁判所調査官が何を考えて職務に当たっているかが詳しく書かれています。

岡口基一『要件事実マニュアル第5巻(第4版)家事事件・人事訴訟・DV』ぎょうせい2013年


お薦め度:☆☆☆☆
 若手弁護士に圧倒的存在感を誇る、言わずと知れた要件事実マニュアルです。
 要件事実マニュアルシリーズには、(1)手っ取り早く要件事実がわかる(2)どこにどういう文献があるかわかる、という2種類の効用があります。家事事件についてはその性質上(1)の利用がそれほどは求められないわけですが、(2)に使えるので、結局便利です。便利ですが、家事事件は学説より実務が重要な世界だと思うので、(2)についてもそれほど役に立った印象はないですね。しかし、これがないと文献に辿り着けないので、必携ではあります。
 なんかはっきりしないことを書いてしまっていますが、要するに、あまり役に立った印象を持ってはいないが、必携だ、ということですね。

二田伸一郎・小磯治『書式 家事事件の実務[全訂10版]』民事法研究会2014年

 お薦め度:☆☆☆☆☆

 書記官が書いた本です。「書式」と題されてはいますが、申立書式部分は本人向けのもので、弁護士にはあまり役に立ちません。調停条項例の記載などは役に立つと思います。
 それよりも、書式以外の部分が良いのです。事件類型ごとに、申立人・管轄・手数料から始まって、実体法上・手続法上重要なことが簡潔に(もちろん記述は薄いですが)まとまっています。「この申立をする場合、どういう流れになるんだったかな」と思った時にまず見ると便利です。


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